近況

 日本からKさんが来る。おみやげはキレンジャーカレー、たべっこどうぶつ、その他。 Amazon で買った本を運んで来てくれて助かった。ポートランドには特に観光地もないので、結局食事と本屋くらいしか外出せず、部屋で延々とおしゃべりしたりシンプソンズみたりして1週間近くすごしてしまった。
 先々週末、サンフランシスコでインターセックス関連シンポジウム。 AIS 自助グループから多数の参加者。日本インターセックスイニシアティヴの関係者からは2人。日本から来た人に、Cheryl Chase さんと挨拶するよう言ったら「英語が分からないから…」と言っていたので、「日本語でバッチリ通じるよ」と言って紹介した。初期インターセックス運動関係者の Mani Mitchell さん、David Vandertie さんとは初対面。とはいえ内容は医者中心。有名どころの専門家では Lih-Mei Liao さん、David Sandberg さん、Eric Villain さんら。Laio 先生はプレゼン用のスライドや多数の資料を丸ごとハードドライブからコピーしてくれたので嬉しかった。「DSD(性発達障害)」という言葉についてさまざまな意見を聞いていろいろ考える。
 まさきくんのお母さんもちょうど訪米中だったので、サンフラワーで一緒に食事。余分にもらっていた週刊金曜日のわたしの記事が載った号を一部あげる。ついでに読み終わった某単行本もまさきくんにあげてしまう。G2 ゲルインキペン愛好会会長のわたしと副会長のまさきくんで日本から来た人に G2 ゲルインキペンの素晴らしさを洗脳… じゃなくて解説したのだけれど、残念ながらその人は既に ドクターグリップ派だった。
 そして先週、ニューヨーク州バッファローのアートギャラリーで講演。内容は、以前書いた「インターセックスからDSDへ」の続編といった感じで、あの文章を英語で発表して以来のさまざまな反応に応えつつ、上記のシンポジウムを経て考え出したことを少し加えた感じ。直前に聞いた話を消化不良のまま盛り込もうとした結果、講演前日まで内容には悩んだという珍しい経験をしたけれど、「講演しなきゃいけない」という縛りがあったおかげか随分とクリアになった感じ。DSDを巡る議論における2つのパラドクスという形でいずれブログに掲載したい。
 バッファローは噂に聞く通りの不況だった。かつては製鉄産業で栄えた街だけれど、いまでは閉じられた工場や店舗ばかりが目につく。ショッピングモールに入ってみると、いまでも営業しているのは食事のコーナーと1ドルショップ、ハロウィン用のコスチュームショップみたいないかにも安っぽい店ばかりで、その他の店舗にはテナントがほとんど入っていなかった。メインストリート再開発を目指して設置されたライトレールは、黒人や低所得者が多い市内と白人中流層が多い郊外を結ぶような交通網を作るなという郊外の反対にあい、中途半端な距離しかない。乗ってみると乗客のほとんどは黒人。
 東海岸に行く度に思うのは、歴史的な街並や建築物の美しさ。バッファローは1812年戦争でイギリス軍に焼き払われた過去があるのでいくら古い建物でもそれ以降ということになるけれど、有名になる前のフランク・ロイド・ライトが設計した建築がいくつもあったり、米国最大といわれるほど馬鹿でかい市役所の建物があったり。最近注目されているのは、取り壊し寸前で地元出身のシンガーソングライター Ani DiFranco さんが買い取り補修してコミュニティアートセンターとして使用している The Church という元教会。建物もステンドグラスもやたらと綺麗だし、柱やドアの装飾もよくできている。パフォーマンススペースとしては1000人を収容できるとか。
 唯一の悔いは、名物というか当地発祥のバッファローウィングスを食べ損ねたこと。辛いもの苦手だから別にいいんだけどね。それにしても、暇な時間にナイアガラの滝を見に行く事もできたのに、「The Church に行きたい!」と言ってしまって良かったのだろうか…


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