編集者さん、ちゃんと仕事してあげてね。

 社会学者の宮台真司さんのサイトに昨日一時的に掲載された記事が削除され、今日再び掲載された(最近そういうのが流行っているのか)。
 内容は映画『靖国 YASUKUNI』の公開中止をめぐる騒動についてのもので、「靖国議員も自称右翼も映画館も悪くない、であれば何が問題か」という副題を読んだ瞬間に「宮台さん、『民度の低さが問題だ』って言うだろうなぁ」と予想がつくわけだけど、まさにその通りだった。宮台さんの論調を知っている人ならもうそれで内容読まなくても済むけど、わたしがツッコミ入れたいのはそういう部分じゃなくて、たとえばこれ。

「ナショナリスティックな紛争を超克するには、ナショナリズムの否定でなく、むしろ肯定から始めよ」という明晰なメッセージは、日本の自称左翼への批判になっている。そのことを自称右翼はもとより自称左翼すら掴めずに左翼的に礼賛するのは滑稽千万だ。
 こうしたメッセージは国内的には右翼国際主義(民族派右翼)を標榜する一水会元代表鈴木邦男氏の持論に近い。因みに私自身の立場にも極く近い。国際的にはS・ムフのラディカルデモクラシーやJ・ラズの卓越主義的リベラリズム等、政治哲学の最前線の思考に近い。
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=638

 えー、ラディカルデモクラシーってちょっとそれとは違うでしょーと思いつつ、まぁラディカルデモクラシーそのものだって言うんじゃなくて、それに「近い」と言うだけならいいかなぁと思った瞬間気付いた。「S・ムフって誰よ!」 ラディカルデモクラシーで有名なシャンタル・ムフ Chantal Mouffe なら、頭文字はCですけどー。
 まぁそれだけならまだよかったんだけど、さらにもう1つ。

結論的にはこれは市民社会の成熟の問題だ。19世紀半ば『悪の華』が風紀紊乱だと起訴され、若くして夭折した悲劇の詩人ボードレールの(鈴木邦男氏も好む)台詞がある。「僕は君の思想は気に入らぬが、誰かが君を脅かすなら、僕は命をかけて君を守る」。
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=638

 あー、「悪の華」を書いたのはボードレールだけど、その台詞はヴォルテールですー(Wikipediaで確認したところ状況はもうちょっと複雑っぽいんだけど、一般にはヴォルテールの言葉として知られてますね)。1世紀以上離れてますがな。
 それだけ指摘するだけの、くだらないエントリでした。
 え、内容? 細部はともかく、全体としては当たり前のことしか言ってないしぃ。