ハエ叩き実践中?

 Bruckner05 さんによる上野千鶴子講演批判の記事を読んでいて気付いたこと。
 Bruckner05 さんは、「『きっと変えられる性差別語』という本を出して『差別語』や『差別表現』を厳しく批判している」上野氏が「ジェンダーフリーに反対する主婦を『蠅』『ゴキブリ』呼ばわり」している、「蠅やゴキブリなんだから、踏みつぶしてしまえ、という含みがあるのでしょう」と批判し、それを真に受けた「ふにゃらか」さんも「女性フェミニストの発言を聞いてると、『目覚めてない』女性への差別、嫌悪意識を隠さないのにホントびっくりさせられますね」と同意している。 Bruckner05 さんが上野氏の講演から引用しているのは以下の部分。

質問者B そういう過激な人から日常生活でも、特に主婦だとか、男の子だからってやたら言って“あんたにはわからないのよ”と数で攻めてくる抵抗っていうのは困ったなーって思うんですけど。


上野 まあ、こういうのって蠅とかー、(会場:笑)ゴキブリに似たようなものででしてね、あのー、モグラ叩きみたいにこう叩いていくしかなくて、根っこから断つのがなかなかできないんですよね。こっち叩いたらこっちでてきてね。だからまあ、“ああいえばこういうパフォーマンス”でうるさい蠅を追い払うという知恵と工夫を身につけて頂ければいいかと思うんですが、例えば、…

 ここだけ読むと「なんだ上野は自分と違った考え方をする女性をそんな風に叩いているのか」と思うかもしれないけれど、ここの引用で「例えば、」のあとが不自然に途切れているのに気付いた? 実は、続きは以下のようになっています。

だからまあ、“ああいえばこういうパフォーマンス”でうるさい蠅を追い払うという知恵と工夫を身につけて頂ければいいかと思うんですが、例えば、“男らしさだなんとかっていうなら、女の私たちがやってることに、そんなに口出さないで、男らしくもっとおおらかに見てたらいいんじゃない?”とかね。適当におだててあげるとか、相手が使う言葉を逆用して、相手をひねり技で返すとか、寝技であるとか、いろんなやり方があると思いますけど。

 ここを読むと分かるように、ことさら「主婦」に言及しているのは質問者であって、上野氏は「主婦」や女性に限った話はしていない。「男らしさだなんとかていうなら(略)、男らしくもっとおおらかに見ていたらいいんじゃない?」という「ああいえばこういうパフォーマンス」の対象は、明らかに「アンチ・フェミ派の男性」だもの。つまり、上野氏が「蠅・ゴキブリ」に例えたとき念頭においていたのは、「男の子だからってやたら言う主婦」ではなく、男性のアンチ・フェミ論者だったわけ。
 「例えば、」のあとが不自然な切れ方なのは、上野発言の真意を隠して「上野氏が他の女性を中傷している」という印象を与えようとするトリック。だって、そうでなければあの唐突な切れ方は説明できないもの。「ふにゃらか」さんはそれに騙されて、「フェミニストの『目覚めて無い』女性への差別・嫌悪意識にはびっくりさせられる」と驚いているけれど、今後は Bruckner05 さんの言うことはすぐに信じずにソースを確認した方が良さそう。
 もちろん、男性であっても反対論者を蠅とかゴキブリに例えるのはどうかという批判はあると思う。でも、Bruckner05 さんに限ってはそういう批判はできないはず。だって、Bruckner05 さん自身が反対論者に対して同様のレトリックを用いているんだもの。以下は「ジェンダーフリー入門編・初級編の掲示板」で収集したその証拠。

ガンガン行きましょう  投稿者: Bruckner05  投稿日:11月26日(土)21時48分38秒


>I口大臣の講演会を聞きに行くことにしました(自民党本部でやるから参加費無料)
>どんな人物かじっくりと見極めてきましょう。(^へ^)


いいですね。高慢ちきの鼻っ柱をへし折ってやりましょう。


自民党獅子身中の虫、日本国のガンですよ。叩き出すべきでしょう!
http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/

 下手なことは言わない方がいいですねー。


 ところで、上野講演のファイルで「フェミナチ」が「ネオナチ」になっていたりという文字起こしのダメさには唖然。さっと読んだだけでも、英語のスペリングミスが10個くらいあるし… 綴りが分からないならカタカナにすればいいのに。「フェミナチ」が「ネオナチ」になっていたのは質問者ではなくて文字起こしした人が「フェミナチ」という言葉を知らずに「ネオナチ」に変えてしまった可能性もありそう。