小ネタ2篇

 明日からロスアンヘレスに行くところだけれど、その前に面白いもの見つけちゃった。
 みなさんおなじみの chiki さん作「ジェンダーフリーとは」に対抗してはじめたらしい「ジェンダーフリーについて」というページ、ランク上げに協力したくないので URL は http colon slash slash www dot geocities dot jp slash mendoumei slash gender dot html とだけ表記しておくけれど、そこにこんな部分がある。

ジェンダーフリーは私怨である〜


男に対しての復讐、社会に対しての復讐といえるかもしれません。
例えば先ほど紹介した「ラディカルに語れば」のなかで大沢真理教授は
「女で妊娠したことがある人だったらメスだといえる」と語っています。
これほどの憎しみが基本法ジェンフリには含まれています。
このような人が男女共同社会?と思いますがやはり様々な弊害がでています。
まずは家族・家庭の崩壊についてです。
※チェックポイント!このような家族どころか男女の共生からは縁遠い考えを
もった人が基本法を作っているのです。さらなる問題としては家庭を持つ女性は
メス扱いされるということではないでしょうか?「子供を産んだ女=メス」このような
発想で少子化に取り込めるのでしょうか?

 あはははは。
 大沢さんはもちろん、自分は社会的・文化的には女性と規定されているけれど、生殖学的に言うところの female であるかどうかは検査も受けていないし子どもを生んだこともないので分からない、と言っているのね。女性型の外性器や外見を持つ人の中にも生殖学的には female ではない人もいるから、まったくおかしなことはない。一方、子どもを産んだ経験のある人であれば、自分が生殖学的に female であることを確信することができる。
 大沢さんのこうした発言が、「自分が女かどうかも分からないなんて、ゲハハハ」とちょっと頭の悪い反フェミ論者によって揶揄されちゃっているのはよく見るけれど、このサイトを書いた人の認識はそれ以下。「妊娠したことのある人だったらメス」というのを、「妊娠した女、子どもを産んだ女は動物のメスであり人間以下だ」と脳内補完して、勝手に驚愕しているわけです。実際に『ラディカルに語れば』を読んでいれば絶対にありえない誤読。
 結論、自分の主張の論拠として文献を上げるなら、その文献くらいちゃんと読みましょう。


 さて別の話題。 chiki さんが3月8日の「トラカレ」で「最低レベルのリテラシーがなくても笑い飛ばせる」ほど酷い「反フェミニズム入」言説の例として千葉展正著『男と女の戦争』から以下の部分を引用していました。

女性専用車両を運行する意味とはなにかといふと「男性敵対思想の宣伝」。これである。
電鉄会社は「女性を痴漢から守るために女性専用車両を導入しました」なんて言ってるが、あれはウソ。
あまり知られてゐない事実だが、女性専用車両のドデッパラには、人間に見えるか見えないやうな薄いペイントで「男=ワル」と大書してあるのだ。そして電車がホームに入ってくるたびに、利用客の脳裏にはテレビのサブリミナル効果のやうに「男=ワル」のイメージが刷り込まれる仕掛けになってゐる。
(…)「女性専用車両」による男=ワルといふ観念の刷り込みが効いてゐるから、痴漢デッチあげによるユスリ・タカリは成功する。
男性敵対思想に冒されてゐるのは女ばかりではない。「痴漢」と聞いただけで条件反射的に「犯人」を取り押さえてしまふ男たちも同じ。彼らは男同士の車内暴力には見て見ぬふりをするくせに、不思議に「痴漢」だけは取り押さえる。女性専用車両サブリミナル効果は男にも及んでゐるのだ。
千葉展正『男と女の戦争』(p.37〜38、展転社、2004)より

 この部分、わたしが見つけた「デビューボ」と並ぶ大ヒットだと思うのだけれど、実際に Amazon のカスタマーレビューにこんな記述を発見。

フェミニズム入門と書かれているだけあって、フェミニズムの実態をわかりやすく解体している。
中でも、女性専用車両には「男=ワル」と薄いペイントが施されていて、サブリミナル効果によって人々を洗脳しているという事実には驚かされた。
ほかにも政治がらみの話やコラムなどもあり読んでいて大変ためになる。

 いままでのところ、52人中29人が「このレビューが参考になった」と投票しているらしいけど… たしかに参考になるよ、すっごく。これだけ読めばこの本がいかにトンデモか丸分かりだもの♪