フロリダ州日記

 11月8日(木)早朝、空港へ。シカゴ経由でフロリダ州ジャクソンビルへ。乗り換え時間が長いので目的地についた時には既に夜。フロリダは暖かいと思っていたのに、ポートランドとほとんど変わらない気温。それほど寒いわけではないのだけれど、期待とのズレが激しいので寒く感じる。
 フロリダ大学から来たスタッフに迎えに来てもらったけれど、大学のある町までの1時間半のドライブの途中、車がおかしな音を立てて故障する。学生に電話して迎えにきてもらうものの、ホテルに到着したときには翌日午前1時を過ぎていた。
 11月9日(金)午前8時半から社会学系のクラスを取っている学生が3クラス合同で大きなレクチャーホールに集まっているのでインターセックスについてレクチャー。てゆーかそれ、わたしが住んでいる西海岸の時間だと朝5時半なんですけど。続いてセクシュアリティとグローバリゼーションについての授業で国際養子取り引き問題についてのレクチャー。
 昼食にアジア系レストランに連れて行ってもらう。おそるおそる天ぷらランチを注文したところ、天ぷらというよりはただのフライみたいなのが出てきた。タレは天ぷらのそれだったけど。レストランのすぐ側には小さな湖があり、窓の外に広がる水面をよく見ていればたまにワニが見えると言われたのだけれど、見つからなかった。気温の低さに加え、フロリダらしい経験を逃した気がする。
 夕食は、翌日のコンファレンスの準備をしている学生に合流。リーダーらしき学生がやたらとストレスをためまくっている様子で、周囲の人が手伝おうにも近寄れない感じ。思わず「肩もみしようか?」って言ってしまったよ。
 事件が起きたのは、わたしがホテルに帰ったあと。準備のため走り回っていたリーダー学生が、事故で窓に腕を突っ込んで割ってしまった。病院に連れて行かれたかれの腕は、翌日に会った時には数針縫われていた。
 11月10日(土)はまず街で開かれているアートフェスティバルを見に行く。ダウンタウンの何区画かのあいだ車の通行が止めてあり、たくさんのアーティストが作品を売るための店を路上に出している。クリスマスプレゼントのことを考えるといいタイミング。部屋に飾る絵は好きなものを選びたいと感じる一方、こういうものは自分からはなかなか買わないので誰かにもらうと(そしてそれが気に入った絵だと)嬉しい。
 昼から大学でコンファレンスに参加。フロリダ全体からクィア/LGBT 系の学生が集まるコンファレンスだと聞いていたのだけれど、実際のところほとんど開催大学の人たちばかり。頼まれていた基調講演は「マルチ・イッシューの運動について」だけれど、こういうテーマはとてもやりにくい。観客のレベルがどれくらいなのかによって内容の調整をしなくちゃいけないものねー。
 で、今回の観客のレベルなんだけど、コンファレンスの案内パンフの表紙に「悪が勝利する為に必要なことは、善なる人々が何もしないことだ」という格言が大きく掲載されている。そういう単純な善悪の切り分けはおかしいとか、この格言における「人々」が「human」ではなく「men」であることとか、そういう疑問を持つ人はいたんだけれども、この格言のソースが保守政治思想の父・エドムンド・バークであることについては誰も何とも思っていなかったらしい。もちろん誰の発言であっても良いと思えば使えば良いのだけれど、そもそもこのコンファレンスに関わる人に誰一人としてエドムンド・バークという人物を知っている人がいなかった。まあそういうレベルの大学。
 帰り際、腕を縫った学生にスターバックスの無料ドリンク券(どんなドリンクにも引き換え可能!)をプレゼントした。この無料券、以前スターバックスで店員が注文を間違えた時に貰ったものなんだけれど、どんなドリンクにも引き換え可能と言われるとなんだかすごく豪華なものと引き換えなきゃ損する気がして、でもあんまりそういうのが飲みたい気分にならなくて、ずっと使わなかったもの。
 翌日の帰りの便が早いので、その日のうちにジャクソンビル空港そばのホテルへ移動。
 11月11日(日)は帰りの便が朝7時。つまりホテルを朝5時には出る必要があるわけで、ゆっくり寝ていられない。どうせ寝られないならと3時に起きて、きれいな星空の下、他に誰もいない屋外スパに入ってゆったりとする。そのおかげか、帰りの飛行機ではすっかり熟睡してしまい、行きより長いはずの時間をほとんど感じなかった。
 時差の関係で、午後2時には帰宅。4時から6時までスポーツクラブに泳ぎに行く。旅行のために数日間泳ぐことができないので、帰宅後すぐに泳ぎに行くことははじめから計画していた。これでしばらく明日からまた普段のルーティンに戻る。