歴史修正主義本の人がマケインに送った献金が見つからない。

 米国下院において慰安婦決議を提唱したマイク・ホンダ議員を訴える!と息巻いていたはずがどんどん脱線している隼速報!の伊勢平次郎さんが、先月27日のエントリでこう書いていた。

(お知らせ) 9・9・08、ジョン・マケイン共和党大統領候補に、$500ドル、私個人の献金をした。
http://falcons.blog95.fc2.com/blog-entry-183.html

 さっそく、OpenSecrets.org の政治献金データベースを調べてみたけれども、かれの名前(もちろん伊勢ではなく本名)で調べても、伊勢さんのパートナーの名前で調べても、まったく見つからない。ついでに伊勢さんの住んでいる地域の郵便番号で調べても、やっぱり見つからない。
 でもまぁ、もしかしたらマケインに200ドル、共和党全国委員会に100ドル、共和党州委員会に200ドルみたいな感じで、データベースに入らない程度の小額を(って、貧乏なわたしにとっては大金だけど)いくつかの別のところに寄附したのかなぁ、くらいに思っていた。
 ところが今回の大統領選挙では、オバマ陣営が数百万人もの個人から一人50ドル、100ドルといった小額の寄附を積み重ねることで、大口寄附が中心のマケインの何倍もの選挙資金を調達したこともあって、マケインが「オバマは200ドル以下の寄附なら報告しなくても良いことを利用して、本来なら寄附が禁じられている外国人からの献金を受け付けているのではないか」と言い出した。
 しかし、「オバマは200ドル以下の寄附についても情報を開示しろ」と迫っておきながら自分は開示しないというわけにはいかないので、マケイン陣営は率先して200ドル以下の献金の情報を公開しはじめた。共和党サイトから名前によって検索できる。

http://net.gop.com/RNCDonors/default.aspx

 これ、名前と献金額が分かってもどうしようもないので(「ビル・ゲイツ」で検索したら25ドルと100ドルの献金が出てきたけれども、多分あのビル・ゲイツではないだろう)、公開する意味が分からないのだけれど、それはまあいいとする。でもこれで探しても、やっぱり伊勢さん(の本名)も、かれのパートナーも、見つからない。何かの理由でデータがまだ組み込まれていないだけかもしれないけど、他の人の同時期の寄附はとっくに掲載されているので、なぜだか分からない。
 伊勢さん個人が献金したかどうかなんてどうでもいいのだけれど(いや、できればマケインに献金していなかった方がわたし的には嬉しい)、問題はいま米国で歴史修正主義本(じゃなかった、日米関係についてアメリカ人に考えさせるための本)を出版するために、かれが大勢の人から多額の寄付を集めていること。ずるずると出版時期が先延ばしされることを含め、ちょっと不安になってしまう。


【おまけ】
 以下は、マイク・ホンダ議員の対抗馬、共和党連邦下院候補(カリフォルニア州15区)のジョイス・コーディさん。彼女は経営コンサルタントで、政界には初挑戦。共和党予備選挙では、ほかに立候補者が一人もいなかったために自動的に共和党の候補になれた様子。ちなみに前回の選挙ではホンダ議員が7割を超える得票で当選してた。

 この選挙区ってシリコンバレーなんですけど、もっと誰かビデオ作成を手伝ってくれる人いなかったのだろうか…


【追記】
 ブクマコメントを読んでいると、なんだか詐欺確定!みたいな受け取り方をしている人がいるみたいなので一応書いておくけど、伊勢さんの献金がデータベースに反映されていないからといって、必ずしも「寄附していなかった」ということにはならないし、仮に献金したというのが事実でなくても、だからといって本の出版計画のために募った寄付が不正に流用されているということにはならないので、決めつけるのはよくないとおもいますー(棒読み)。
 わたしが言いたかったのは、「献金した」という発言にいくらかの疑いが生じているということ、そして「仮に」その報告が虚偽だとすると、あれだけたくさんの寄付を集めているけどその収支もちょっと疑問が生じるよね、みたいなこと。本の出版に取りかかっているというのはまぎれもない事実だと思うし、右翼出版社の編集者を雇うなどして費用がかかっているというのも嘘ではないと思うので(そんなこと相手に確認をとればすぐ分かるので、そこで嘘をつくとは思えない)、伊勢さんの活動そのものが全部詐欺ということはないと思うよ。