偏見に加担する「言い訳」を考えるリベラル系議員

 昨日ある方から相談を受けるまでは国籍法改正の話はあんまりフォローしてなかったんだけど、ちょっと調べてみたら酷い感じ。特に問題なのは、前エントリでも取り上げた新党日本田中康夫さんはじめ、若くてリベラルな政治家の一部までもが、何百通と届く「改正反対」のメールやFAXにおそれをなして、テキトーな口実を見つけて反対にまわっていること。たとえば、川田龍平さんのコメント:

たった一日の質疑だけで採決の予定だった国籍法改正法案が参考人質疑、更に法案質疑を行い、採決が来週に先送りされました。違憲状態を解消することは当然のことです。しかし、二重国籍の問題や参政権の問題など審議を続けるなかで、更に議論すべき問題が明らかになってきました。ドイツでは、98年の父子関係の認知を認める制度改正後の悪用を防止する「偽装父子関係の認知を可能にする法律」が今年3月に制定されました。田中康夫議員はDNA鑑定の義務付けなどの偽装防止対策の必要性を強く訴えています。更に雇用問題など社会に与える影響を含め国籍法のあり方に踏み込んだ議論をすべきです。国の根幹にかかわる国籍法という重要な問題は国民の目に見える形で議論し、判断されるべきことだと思います。会期も延長された今、良識の府参議院でこそ十分に議論するべきです。
国籍法について - 川田龍平

 こちらは、田中さんから話を聞いたという外山イツキさんのブログから:

同じ日本人の血が流れておきながら、国籍が付与されない子供達を救わなければいけないのは当然だが、もし仮にこの改正案で苦しめられる子供達(人身売買等で)が数パーセントでも出る可能性があるのなら本末転倒になってしまうし、認める事は出来ない。附帯決議ぐらいでは、防ぎようがない。
二院制で良かった。 - いつきブログ

 どちらも、田中康夫さんの影響を受けて立場を決めているようなのだけれど、「東南アジアの子どもが人身売買される危険がある」という田中さんの論法に説得力を感じてしまっているのだろうか。仮にそうなら、「自分は人身売買が心配だから改正には反対するが、しかし改正反対派の意見の中にあるゼノフォビアには賛成できない、差別や偏見で改正反対を主張するのはおかしい」と明言してくれれば良いんだけど、そうは言わない。明らかに、ゼノフォビアに擦り寄り、追随するための、体のいい口実として「子どもの人身売買」と言っているだけ。
 たとえば、外山いつきさんのブログはコメント欄が開放されているけれど、改正法反対を言っている人は「子どもの人身売買」なんてことは言っていないわけ。外国人犯罪者が入ってくる、テロリストが入ってくる、日本人はお互い信用できるけれど外国人は信頼できない、そんなのばっかり。ところがかれは「このブログのコメントでも、メールでも、FAXでも改正に反対の方々から色々な意見を頂戴しております」と言うだけで、自分のブログに書かれている公開のコメントにあれだけゼノフォビアが垂れ流しになっているのに何も言わない。それって、単純にゼノフォビアや偏見から反対しているだけの人より悪質だとわたしは思う。
 田中さんや外山さんらに、その点を突きつけることはできないものだろうか。子どもの人身売買が行なわれるという懸念からDNA鑑定を主張するならそれはそれでいいとして(実際のところ、関係ないと思うけど)、ゼノフォビアにおもねり、擦り寄り、加担するようなことをして、恥ずかしくないのかと。もし違うと言うのであれば、ブログに声明でも載せて、「改正法に賛成の人も反対の人も、ゼノフォビアには反対するよう」呼びかけて欲しいところ。