欧米人のマンガ・リテラシー

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▼「日本の『嫌韓流』は警戒心理・劣等意識の発露」NYT紙@中央日報


米紙ニューヨーク・タイムズは、19日、日本で売れている『マンガ嫌韓流』と『マンガ中国入門−やっかいな隣人の研究』について、韓国・中国を警戒する心理と西洋に対する日本人の劣等感を示すもの、と指摘した。


ニューヨークタイムズは『マンガ嫌韓流』がこれまで36万冊も売れ、ベストセラーに位置付けられているが、その中に登場する日本人は、一様に西洋人に似た外見をしている、と指摘した。日本人の意識の中に内在された「脱亜入欧」の欲求を反映している、というのが同紙の診断。

マンガ嫌韓流」から欧米に対する劣等感が見え隠れするということは同意するけれど、同時に欧米人がよく日本のマンガを見て「日本人が西洋人のような外見に描かれている」と言うのは言葉通り受け取れない。最近は優良なものも増えているとはいえ、欧米のコミックに登場するアジア人はまるで西洋人とは別の生物であるかのようにステレオティピカルにデフォルメして描かれている例が多く、かれらにとって「西洋人のような外見」とはそうしたデフォルメをしていない登場人物のことを言うわけだからね。


欧米のマンガでアジア人がデフォルメされるように「マンガ嫌韓流」においては韓国人の登場人物がデフォルメされて登場するけど、だからといって「このマンガは日本人を西洋人の外見に描いている」というのは間違い。正しくは、欧米のコミックにおいて西洋人が「スタンダード=普通の人間」として描かれているのと同様に、このマンガでは日本人が「スタンダード=普通の人間」として描かれているだけ。(はいはい、本当に劣等感をにじませているマンガもありますよ、でも「マンガ嫌韓流」の場合は当てはまらないと思うのね。)


批判するなら韓国人に対する民族差別的なデフォルメを批判すべきで、日本人がデフォルメされていないからといって「西洋人に似た外見に描いている」なんていうのは、かれら自身の人種偏見を告白しているに過ぎない。日本人の漫画家が劣等感を感じているから日本人を西洋人に似せて描いたのではなく、西洋人の読者が優越感を持っているからこそ、「スタンダード=普通の人間」として描かれている人間がかれらの目には西洋人にしか見えないのです。


# ところで、「The Simpsons」ではアジア人の肌が白く、西洋人の肌が黄色いって気付いてました?