ほんの少し優先順位が変わればいいのに

 Seattle Post-Intelligencer の記事「Sex changes through the state a go again after policy reversal. (03/14/2006) を読む。低所得層に州が提供する健康保険などによって性同一性障害の人の手術費用を公的に負担することを禁止する法案が民主・共和両党の賛成で成立しかけたところ、この法律がインターセックスの子どもに対する「正常化」手術も禁止してしまうことへの懸念から突如廃案に。記事によると、両党は性同一性障害の医療を公的負担することに反対する点では一致しているらしい。廃案となったことに、共和党の議員は「インターセックスの子どもに関する例外を設けて成立させるべきだった」と発言。
 そもそもワシントン州でh公費による性再判定手術が行われているという話は聞いた事がないのだけれど、それでもわざわざ禁止規定を設けようというあたりは、どう転んでも同性婚が実現しそうにない州までわざわざ州憲法を改訂して同性婚禁止規定を設けようとするのに似ている。中間選挙のある今年は、こういう政治的なジェスチャーが今後も増えそう。
 それにしても、本人が望んでもいないインターセックスの手術は絶対に必要であり、本人が望んでいる性同一性障害の大人の手術は駄目だという価値観の倒錯。性同一性障害の人はよく誤解しているんだけど、インターセックスと診断されたらより容易に手術にアクセスできるなんてことはなくて、インターセックスの人でも大人になってから自分の意志で手術を選択するのであれば性同一性障害の人と同じような障害を乗り越えなくちゃいけない。社会が支援するかしないかはインターセックス性同一性障害かで違うのではなく、親や医者など周囲の人が勝手に性別を変更するのであれば大した要件もなくお金がなくても誰かが出してくれるのに、自分の意志で性別を変更しようと思ったら厳しい要件を満たした上で費用も全額自己負担が普通。社会として優先順位間違ってるよねー。