わたしの定義をかえしてください(ウソ)
前にもちょっと取り上げたけれども、6年前にわたしが自分のサイトに掲載したドメスティックバイオレンスの定義が方々で引用されている様子。わたしの定義というのは、
表面上「親密」な人間関係において、一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターン。またそのパターンを作り出し、維持するための仕組み。
というもの。以下は、軽く検索して見つかったリスト。
「東京都議会議員 野上じゅん子のホームページ」から「議会報告・平成13年文教委員会(2001年11月28日)」
◯野上委員 中には、女性から男性への暴力は取り上げてくれないのかという声も上がっておりました。このドメスチックバイオレンスというのは、もともとは家庭内暴力という、訳せばそうですけれども、今まで家庭内暴力といえば、子どもから親への暴力が家庭内暴力というふうに日常的に定着しておりましたので、これはあくまでも男性から、個人的な関係にある弱者としての女性に向けられた暴力をDVというふうにとらえております。
でも、アメリカの最前線のDVの活動状況を調べてみますと、これは表面上密接な人間関係において、一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターンというふうにありました──訳は多分合っていると思うんですけれども。主として、男性から女性への支配というのが大多数なんですけれども、女性から男性へのケースもありますし、また、同性愛のカップルにおいてはそれが起こるということで、日本のDVにおいても定義が変わってくるかもしれません。
source: http://www5b.biglobe.ne.jp/~j-nogami/gikai/2001/gk_011128_bun.html
公式記録はこちら: http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/bunkyo/d3030048.htm
いきなり都議会で取り上げられています。たしかに「よく正体がわからない macska というやつがウェブサイトで言っている」と言うよりは、「アメリカの最前線ではこうなっている」と言うほうが権威があるみたいに見えるけど、わたしのサイト読んだくらいで「調べてみますと」はないんじゃないかと。まぁ議会での答弁は学術論文とは違うから、仕方がないけどさ。
「法政大学大原社会問題研究所」から「ドメステックバイオレンス問題リンク集」
第三に、DVはそれらの人間間における「暴力ないしは虐待」という現象形態だけを問題にするものではない。ここで詳説は出来ないが、DV問題で活動しているアメリカの団体の間では、以下の定義が共通に採用されつつある。
「表面上『親密』な人間関係において、一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターン。またそのパターンを作り出し、維持するための仕組み」
本リンク集でも、この定義にしたがって、サイト採録をおこなった。
これまた「共通に採用されつつある」というのは過大評価ですね。わたしはそういう定義を採用するように訴えているけれど、まだ一般的とは言えないと思う。定義がこうだというだけでなく、どうしてそういう定義が良いのかというところまで読んで欲しいから、わたしの定義をコピーするだけでなく引用元にリンクして欲しかったな。
「Cherry blossoms」より「DV(ドメスティック・バイオレンス)とは」
ドメスティック・バイオレンス―Domestic Violence(以下DVと略す)とは日本語に直訳すると「家庭内・家族内の暴力」となります。
一般的にはDVは「夫やパートナーが、妻や恋人に対してふるう暴力」として説明されますが、アメリカにおける最前線のDV活動では「表面上『親密』な人間関係において、一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターン。またそのパターンを作り出し、維持するための仕組み」という意味合いで使われています。(主として男性から女性への支配が大多数であるが、女性から男性や同性愛のカップルにおいても起こる為)
日本では1980年代頃より、子から親への暴力を「家庭内暴力」という言葉で表現されてきた為、あえてこの現象との混同を避ける為にドメスティック・バイオレンスという言葉がそのまま使用されています。
ここは前も取り上げたサイト。引用元を明示しないのは上と同じだけれど、「どうしてこういう定義なのか」という解説がついているところが良いです。
「関西どっとコム」より「DV ドメスティックバイオレンス」
日本において一般的に「夫やパートナーが、妻や恋人に対してふるう暴力」と解釈されているドメスティック・バイオレンス(以下DV)。DVが深刻な国として問題となっているアメリカでは、「表面上“親密”な人間関係において、一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターン。またそのパターンを作り出し、維持するための仕組み」とし、大多数を占める“男性→女性”の構図はもとより“女性→男性”または“同性愛カップル内”でも起こりうる事を説明している。
ドメスティックバイオレンスをテーマとした映画の解説なのだけれど、この引用は最悪。「女性の加害者もいる、男性の被害者もいる、同性カップルでも起きる」というのは当たり前のことだけれど、それを説明するがためにあの定義を作ったわけじゃないのよ。「DVが深刻な国として問題となっているアメリカでは」という部分は表現としてなんだかおかしいし、引用元も示していない。
てゆーか、「米国の」定義であるという部分がことごとく強調されるのに驚いた。わたしは「自分の」意見を言っているつもりだったんだけれど、日本にいる人からみたら「米国」を背負って発言しているように見えるのだろうか。
「飼い犬が手を噛むので 2006」より
多くのサイトでは
DVとは男性から女性に対する男尊女卑的な背景のある肉体的暴力を指しております
実際95%くらいは男性→女性への暴力であり
ジェンダーの暴力である、というのはよく言われていることなようなのですが
性差に視点を置いていてはあらわせていない病理があるのを感じるわけです
ここなんか切り口が面白かったです。
DVの定義が
>表面上「親密」な人間関係において、
>一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターン。
>またそのパターンを作り出し、維持するための仕組み。
支配欲求が根底に、という話になるといくぶんわかりやすくなるかも。
個人ブログで、おそらくこれが書かれた2004年当時はブログ名は違ったのだろうけれど、引用のやり方はこれが一番正しい。内容も、どうしてこういう定義にしたのかちゃんと理解している様子。エラい。
「ある男と女の話」から
DV(Domestic Violence)とは、簡単に言うと夫婦、恋人等の親密な関係にある人からふるわれる暴力を言います。最近では、表面上親密な人間関係にで、一方が継続して他方をコントロールするパターン。またそのパターンを作り出し、維持するための仕組みという意味合いで使うところもあるそうです。
これも個人ブログ。こちらは引用元を示していない。コメントを付けている人が「DVの説明ありがとうございました。良く解りました。」と書いているけど、それはわたしの説明だ。
「Love Letter」より
DV(ドメスティックバイオレンス)って知っていますか?
辞書を引くとこんな風にかかれています。
「夫やパートナーが、妻や恋人に対してふるう暴力」
正確には、
「表面上『親密』な人間関係において、一方のパートナーが継続して
他方をコントロールするパターン。またそのパターンを作り出し、維持
するための仕組み」
つまり、DVとは、必ずしも家庭内での乱暴な行為を示すだけではありません。
性的な行為の強要もやはりこのDVに入るのです。
source: http://aihoshino.blog2.fc2.com/blog-entry-496.html (注:性的コンテンツ)
どちらが正確ということもないだろうけどなぁ。これも引用元示していない。
ほかにも発見したらご連絡を。みなさまも、他人の言葉を一字一句変えずにそのまま引用するときは、ちゃんと引用元を示しましょう。わたしの名前が出ないのは構わないけれど、わたしの定義を読んで興味を持った人がより詳しい内容を読むことができるようにしておいて欲しいな。