ヘイトクライム法案の舞台裏クイズ•回答編

 なんだか全然回答が集まらないで失敗しちゃったクイズでしたが、回答編です。
 問題は以下のとおり。

 現在米国議会では、ヘイトクライム(特定の集団に対する憎悪や敵意を理由とした犯罪)対策法案の改正が議論されています。この改正が実現すると、人種・宗教などに加え、新たに性的指向性自認・障害を理由とした犯罪も連邦法上ヘイトクライムに含まれることになります。
 この法案を推進しているのは民主党を中心としたリベラル勢力ですが、本来ならヘイトクライム関連法案についてはリベラル派の中にも批判的な論者がたくさんいます。それは、少なくないリベラル派論者は、ヘイトクライム対策を口実とした国家権力の増長や過度の重罰化を懸念するからです。
 しかし、今回のヘイトクライム法案に関しては、特にこれまでの法案と変わらないにも関わらず、リベラル勢力内部から反対の声はあまり上がっていません。むしろ、普段はより慎重なリベラル系団体も一致して推進しています。なぜでしょうか?

 唯一答えを寄せてくれた tomohiro さんの回答はこちら。

セットで出す法案がリベラル派にとっては重要で、
トランスジェンダー含む法案より保守派に攻撃受けそうなものだからとか?

 参考リンクにあった、「法案がセットになって提出される」という話から論理的に回答を導きだしてくれたみたいで悪いんですが、事実は違います。法案自体はこれまでのものとほとんど変わらないので。では前回と何が違うかというと、それはもちろん議会が民主党多数になったこと、すなわち民主党の対応次第では法案を成立させることができるという点が前回とは大違い。
 で、成立したらどうなるか。法案はブッシュ大統領に送られて、そこで署名するか拒否権発動するかの判断を迫ることができるわけ。署名すれば、またもや共和党宗教右派を裏切ったとして問題とされるし、拒否権を発動しても来年の選挙で「ゲイやトランスジェンダーに対する暴力を容認している」として中間派から嫌われる。というより、今回の場合議会民主党は大統領が拒否権を発動するとほぼ確信したうえで、安心して法案を通過させようとしているのね。
 というわけで正解は、「ブッシュに拒否権を発動させて、後で叩くため」でした。
 ま、とにかく議会はそういう世界なので、少数派の諸君は選挙なんて行くな、もはや政府転覆しかない!とゆーコトになるわけですねー。