女性とマイノリティと労働者を支援するブラック企業?(3)
ここのところ取り上げているフェミ系ブラック企業について、某秘密主義ML上で質問をしていたら、上野千鶴子せんせーが「憶測にもとづいている」「答える必要はない」「この件はこれで収束してください」と言ってきた。
おねがいであって禁止ではないとわざわざ言っているけれども、フェミ業界において上野さんほど影響力がある人が「おねがいもうしあげます」とまで言えば、普通はみんな黙ってしまうもの。わたしや山口智美さんみたいに日本のフェミ業界の人間関係に縛られない海外組を除いてはね。
権力者だし、上野さんの個人情報が含まれているわけでもないし、上野さん自身が私的領域に隠れて家父長が暴力をふるうことを批判して公的領域の拡張を主張しているわけだから、ほかの参加者と区別して、上野さんの名前だけは伏せずにブログに書きます。
あと、上からもリンクしたけれども、山口さんによる上野さんへの返答も参照。
以下、上野さんに対して書いた返事×2。
上野さま、
あれが憶測によるものだと思ったとしたら、上野さんって案外文章を読む能力がないですね。
いくらわたしでも、憶測であそこまで書くことはありません。
****はMLに参加者に対して「ご友人・知人で適任の方がおいででしたら、ご紹介ください」と要請しているわけですから、労働条件や労働環境についての質問にそれなりに答える責任はあるでしょう。疑問を持ったまま友人・知人を紹介するなんて、無責任なことはできないじゃないですか。
上野さんは、昨年WAN(ウィメンズアクションネットワーク)の理事として、雇用者側として労働争議に関わり、女性運動内部における労働問題の難しさについていろいろ考えるところがあったのではないかと思いますが、こういう要請をするところをみると、いまもまだ雇用者側の立場に立って、労働者の権利についての主張をやめさせようとしているように見えます。上野さんのように影響力のある方が、労働者(それも主に女性や性的少数者の労働者)の権利を擁護するのではなく、逆にかれらの権利主張を押しとどめるような立場で関与してくるというのは、とても残念です。
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上野さま、
あいまいにぼかして書くと「憶測に過ぎない、予断と偏見が増幅される」と言われ、だったらと具体的な証言を提示すると「当事者のみしか知りえないような情報は書くな」とくる。なんだかんだいって結局、労働者の権利なんて主張するな、黙っていろ、と言いたいだけなのでしょうね。
当事者同士で解決できればそれが最善でしょうが、現実にそう簡単にいかないからこそ、労働組合があり、差別やセクハラの問題に取り組むフェミニストたちの運動があったりするのではないですか。そういうのを排除して当事者だけでなんとかしろということは、すなわち立場の弱い労働者たちに泣き寝入りを強いることと同じです。
もしかりに数次にわたって人事募集をしただけで、元スタッフの方たちが言われているような問題がまったくなかったのであれば、わたしもあんな質問をしようとは思わなかったでしょうし、ああいう質問を受けてもなんら萎縮する必要はないはずです。もし萎縮するのだとしたら、それは元スタッフの方たちが言われているような問題が、事実に基づいているからでしょう。
ML参加者を食い物にするような、問題のある企業や事業の人事募集が萎縮するのは、良いことだと思います。できれば、人事募集だけでなくそういう企業体質・雇用慣行自体を萎縮させて、労働環境を改善させたいですね。
問題は、わたし個人が納得するかどうかではなく、女性とマイノリティの人権を掲げた活動をしている団体が、自分たちの事務所で働く(主に)女性とマイノリティの従業員たちを適切に扱っているかどうか、でしょう? わたしのやり方に賛同できないというならそれでも構いませんが、上野さんがどうして働く女性やマイノリティの権利や立場にこれほどまで冷酷かつ無関心でいられるのか、とても不思議に感じます。