スタバでホットホワイトチョコレートを注文したら、ホットチョコレートにホワイトチョコレートを追加した代金を取られそうになった件。
ある暑い五月の午後。バス停のすぐ側にあるカフェでアイスコーヒーを注文したら、3ドルも要求された。ホットコーヒーは1ドル75セントなのに、なぜアイスコーヒーの値段は3ドルもするんだ、と聞いたら、アイスコーヒーを作るには濃いコーヒーをいれなければいけないので、コーヒー豆が余分に必要なんだと言う。「そんな馬鹿な、コーヒー一杯いれるのに必要な豆の代金なんて10セントにもならないはずで、仮に倍の量の豆が必要だったとしてもそこまでの料金差の理由にはならない」と言い返したかったのだけれど、バスが向こうから近づいているのが見えたので3ドル払って店を出た。というのは今回の話のプロローグ。
翌日。前日のことを思い出しつつ、あれじゃ「コーヒー豆が余分に必要だから高いんだ」という、ありえない説明にまるでわたしが納得したみたいで気分が悪かった。が、それはともかくある講演を聞きにポートランド州立大学に来たので、カフェテリア内のスターバックスでホットホワイトチョコレートを注文する。ホットホワイトチョコレートとは、ホットチョコレート(ホットココア=スティームミルク+チョコレートシロップ)を作るときに、普通のチョコレートシロップではなくホワイトモカに使うホワイトチョコレートシロップを入れたもの。
ちょっとボーッとしていたので言われるままに代金を払った直後、何かおかしいことに気付く。思っていたよりかなり値段が高かったのだ。確認してみると、ホワイトモカを注文したことになっていたので慌てて「そうじゃない、ホットホワイトチョコレートだよ」と伝える。ホワイトモカはエスプレッソコーヒーにホワイトチョコレートシロップとスティームミルクを混ぜたもので、スターバックスでは通常のカフェ・モカより30セント高い。
店員はすぐさま間違えたことを謝り、余分に取った代金を返還してくれたのだけれど、それでもまだおかしい。そこでレシートをよく見てみると、ホットチョコレートにホワイトチョコレートを追加したかのような料金を取られている。スターバックスではどのドリンクにもホワイトチョコレートを追加することができるけれど、これは追加料金として59セントかかる。
しかしわたしはホットチョコレートにホワイトチョコレートを追加したのではなく、チョコレートシロップを入れる代わりにホワイトチョコレートシロップを入れたのだから、追加料金を全額取られるのはおかしい。もし追加料金を取るなら、通常のホットチョコレートにホワイトチョコレートを追加した料金ではなく、スティームミルクにホワイトチョコレートを追加した料金であるべきだ。
また、あくまでわたしが注文したものは「スティームミルクにホワイトチョコレートを入れたもの」ではなくホットチョコレートの一種だと言うなら、通常のチョコレートシロップをホワイトチョコレートシロップに代えたのだから、ホワイトモカが通常のモカより30セント高いのと同じく通常のホットチョコレートに30セント追加した料金にすべきだ。
そう言ったのだけれど、店員は「これはホットチョコレートの一種であり、ホワイトチョコレートを追加したのだから、これで正しい」と言ってきかない。おかしい。スターバックスはアメリカの企業にしてはめずらしく顧客を大切にするところで、多少無茶な言い分でも客の言い分には柔軟に対処するのが普通だ。っていうか、そもそもわたしは無茶を言っているつもりはないし。
仕方がないのでマネージャを呼んだのだが、そのマネージャまで「しかしホワイトチョコレートは普通のチョコレートより値段が高いからねぇ」とか言い出す。わたしはそもそも、ホワイトチョコレートにした分の追加料金を払わないとは言ってないのだけど、前日「アイスコーヒーにはコーヒー豆が余分に必要だから」というおかしな説明に反論できなかったことの後悔が残っていたので「仮にホワイトチョコレートシロップの方が値段が高いとしても、ホットチョコレート一杯分に入れる量なんてそもそも10セントもしないでしょ、ホワイトチョコレートの追加料金は単にスターバックスがよりお金を儲けるための価格差別なんだから、コストの問題にしないでよね」と早口で言った。が、そんな話が通じるわけがないし、そもそもわたしは別に追加料金が悪いと言っているわけじゃない。
問題は、ホワイトチョコレートの追加料金を取られたことではなくて、買ってもいない普通のチョコレートシロップの代金まで取られたことだ。それをマネージャによく説明したら、あなたの言い分はよく分かる、と言ったうえで、何か困ったようにしていた。どうやらこの店はスターバックスの正式な店舗ではなく、スターバックスとの契約でカフェテリアの運営会社が運営しているため、スターバックスから与えられた料金表とは違う料金でドリンクを売ることは契約上できないのだという。ホットホワイトチョコレートは通常のメニューには載っていないので、どういう値段をつければスターバックスとの契約を守ったことになるのか分からないのだそうだ。それなら、メニューに載っている「スティームミルク」に「ホワイトチョコレート追加」の料金を取ればいいと思うのだけれど、どうやらそこまで頭が付いていかないらしい。
あんまり困っている様子なので「じゃあいいよ、簡単にしてあげる。これ、もういらないから、返金してちょうだい」とホットホワイトチョコレートを返品することにした。するとそのマネージャは一端ドリンクを受け取って返金したうえで、「すみませんでした、これは差し上げます」とドリンクをそのまま返してくれた。まぁ店にとっても返品されても困るだけだとは分かっていたけど、だからといって自分が余分にお金を払う義理はないと思うし(ってせいぜい30セントなんだけど)、あの状況ではそれ以外に解決策がなかった。おかげでありがたく無料のホットホワイトチョコレートをいただいたのだけれど、それにかかった労力を考えればあんまりお薦めできる作戦ではないので、良い子のみんなはマネしないでね。